繰り返す歴史
私の母は今年で71歳になります。 彼女が生まれた翌年、日本は太平洋戦争という歴史的な悲劇の幕を開けた。そして、私の祖父を始めとする幾千幾万の方が命を落とされました。記録によると約330万人と言われていますが実数は計り知れません。 数知れない悲劇の中には、「外道の作戦」といわれた特攻隊というものがありました。賞賛や非難、様々な意見がありますが、彼らは自らの身を捨て、郷土そして何よりも愛する人を守る為に少なからず行動できる事を誇りとして「座して死す」るより「滅びるのを待つ」を潔しとせず、最新兵器によって防御された米国艦隊に突撃されたのだと思います。 そこに日本独特の死生観があったこともたしかですし、強制された事もない訳ではないでしょう。「武人らしく」がたたえられた時代であっても死の間際に恐れ、泣き、身を崩された方もいたのではないでしょうか?しかし多くの方が「他人を生かすために」死を進んで選んだのでないかと思うのです。以前、靖国陣社を参拝させていただき、その傍らにある靖国会館にある様々な戦死された方の遺書や遺品を拝見しそう感じました。そして各も偉大な先達の子孫である事が誇らしく、また、かの英霊たちが望んでやまなかった平和、当たり前の自由が謳歌できる私たちの幸せを、それを当たり前に享受していた自分の不明を恥じ、戦争という悪魔の所行を心から憎みました。 ところがその裏で特攻隊に出撃命令を下した多くの司令官たちはのうのうと戦後の繁栄を謳歌し、死人に口無しを幸いに虚構の自叙伝を出版し、政界や財界に進出していきました。 未曾有の悲劇は、戦争を始めた事より、負けを認めず軍首脳といわれる官僚や政治家たちが国民の悲劇や国の滅亡を目の当たりにしながらも最後の最後まで自分の保身に奔走した事だったのではないかと考えます。 よく軍部の暴走といわれますが、実際に軍部を指揮していたのは陸軍兵学校や大学校を出たエリート官僚たちであり、核心は軍がどうのこうのという前の、国民を顧みない政治家の腐敗とエリート官僚の悪政の結果でしかなかったのです。政治家の腐敗は国民の軍部支持へとつながり、清廉潔白な貧しい農村出身の兵隊を道具に己の欲望を満たした官僚のやりたい放題が悲劇の最大の原因だったのではないでしょうか? 全ての本土以外の海外占領地は連合軍に侵攻され、沖縄戦によってさらなる悲劇を生んでいるそのさなかも、軍の